自主上映イベント「シネトライブ」は盛況のうちに幕を下ろした。親戚、友人知人を巻き込んでの動員だったが、結果的には目標の1000人を大幅に上回る1472人という動員数を記録し、僕たちはひとまず胸を撫で下ろした。
様々な人の助けを借りて、どうにかこうにかチラシが出来上がった。「どんてん生活」と「NN―891102」を二つ折りにしてA4の大きさになるそれは、デザインに何度も改訂を加え、裏面のあらすじや解説を幾度も書き直し、著名映画監督のコメントも光る、練りに練ったもので、それだけでもうやりきった気分になれた。
シネトライブ上映に向けた活動でまず一番にしなければならないこと。それはプレス資料とチラシ作りだ。僕たちは、トミオカさんが紹介してくれた三澤敏博、通称ミサワさんというグラフィックデザイナーの力を借りてチラシを作成し始めたのだが、これがまず難航した。
炭村愛、通称アイアイと知り合ったのは、大阪芸大を卒業する少し前のことだ。卒業制作映画『どんてん生活』の最終的な編集作業にかかっていたころで、機材を借りに映像学科の研究室に行くときなど、たまに顔を合わせたりした。
河南町を離れ、福島区に新居を構えた僕は、買ったばかりの赤い自転車ですぐにプラネットに向かった。 ミニシアター “プラネットスタジオ+1” 通称プラネットは、北区堂山町の路地にひっそりと佇む小さな雑居ビルの一階にあった。