効果音、環境音などの音作業が進む一方で、アキラさんを中心とした劇中音楽の制作も始まっていた。
東京ではスダさんの家を拠点に連日渋谷のスローラーナーに通う毎日が続いた。勝手知ったる大阪と違って、土地勘も人脈もない東京は遥か異国同然。
9月になっても編集作業の終わりは見えなかったが、僕とノブはその手を少し休めて東京行きの深夜バスに乗り込んだ。
編集作業に没頭している間に、夏が近づいてきた。8月下旬には『ばかのハコ船』夏パートの撮影が残っている。
ピンク映画館の受付バイトというヘンテコで新しい日常が飛び込んできた横で、『ばかのハコ船』の編集作業も始まろうとしていた。